未来から来たSDカード

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その日、西園寺陽瑚は自宅屋上にある菜園で育てているの手入れをしていた。
陽「このトマトはもう少しで食べられるかなぁ~。メロンはまだまだだねぇ~。」
ご機嫌で植物に水をあげる陽瑚。そんな中、土の中に光る物体を見つけた。
陽「なんだろうこれ・・・ここにSDカードなんて持ち込んだ覚えないけどなぁ・・・」
陽瑚は謎のSDカードを広い、怪訝そうな表情で見つめる。
陽「明日、環輝ちゃんに見てもらおうかな。地下書庫に行く用事もあるし。」
陽瑚はそのままSDカードを持つと、家の中に戻って行った。

そして次の日、陽瑚は地下書庫で拾ったSDカードを環輝を中心とした全員に見せた。
環「これが陽瑚の家庭菜園の土の中に落ちてたってわけね。」
陽「うん・・・野菜に水をあげてた時に見つけたんだよ。」
麗「それで、陽瑚はこれに見覚えが全くないってことね。」
凛「それにしても、誰が西園寺さんの家にこれを捨てて行ったのでしょうか?」
水「捨てて行ったってことはないんじゃないか?陽瑚が家庭菜園をやっている場所を考えると無理があるだろ。」
和「そうよね・・・家庭菜園って屋上なのよね?」
陽「そうだよ。わたしも全然見覚えないんだぁ・・・」
嘉「中身を見てみればええんやないの?」
環「んじゃ、パソコンで見てみよっか。」
環輝はパソコン室から持ってきたパソコンにSDカードを入れようとしたが・・・
環「あれ?これSDポートに入らないし。」
麗「ポートに入らないSDカードなんてあるの?」
環「聞いたことないわよこんなの・・・カードリーダー使ってみるし。」
パソコン本体に入らないようなので今度はSDカードをカードリーダーに入れてみる。すると、今度は読み込みに成功した。
環「あ、読み込めた。中身確認するよ。」
ファイルを開くとそこには、一つだけ動画ファイルが入っていた。
陽「動画ファイル・・・だねえ?」
凛「これ以外には何も入っていないみたいですね。」
奈「再生はできるんですの?」
環「再生は問題なくできるみたいだね。さっそく見てみようか。」
環輝は動画の再生操作をする、すると映像が映し出された。
?「私はシルク。この動画を見ている貴方・・・そこは過去の世界だと思います。驚かないで聞いてください。私は2180年の未来からこのSDカードをこの時代に送った者です。
私が今いる2180年は・・・地獄となっています。ほぼすべての人間たちは長いものにまかれるようになり、欲望のまま突っ走り、殺人、いじめ、窃盗はほぼ日常茶飯事です。また、環境破壊も進んで、自然災害が多く発生し暮らすことすら難しいです。全ては国の判断で戦争が再び起こり荒んでしまったからです。それでこの動画を見ている貴方にお願いがあります。この戦争の引き金になった悪魔石を探し出して破壊してください。あの石がなければ人々が核兵器を作り出し、醜い争いをする理由もなくなります。どうか・・・お願いします!」
動画はここで終わっているようだった。
環「なにこれ・・・未来?戦争?地獄?アン何のことか分かんないし・・・」
奈「このシルクさんの言うことが正しければ、このSDカードは未来から来たもののようですわね。」
柚「未来か・・・2180年ってことは今から100年後ぐらいだね。」
麗「向こうの送信技術が発達しているのなら可能だと思うけど・・・未来から過去に物を送れるなんて話聞いたこともないけどね。」
咲「それで・・・どうするの?悪魔石なんて私聞いたこともないけど・・・」
和「天宮城、あんたの家の人脈で悪魔石を持ってそうな奴っていないの?」
奈「確かに高級な宝石を持っている方は多いですが、悪魔石なんて名前は聞いたことがありませんわね・・・それに悪魔石などという物は実在しているものなのでしょうか?」
水「そう言われると確かに疑いたくなるよな・・・」
苺「だが我らの所にこれが届いた以上、何かしらの対策をした方がいいのだ。悪魔石のことが本当なら明日にでも滅亡の道をたどり始めるかもしれないぞ。」
凛「とはいえ、悪魔石の手掛かりが全くないのではどう対策したらいいのかわかりませんね・・・」
嘉「それにこの動画には悪魔石の情報は名前しかあらへん。実物が分からへんならたとえそれっぽい石を見つけたところでその石が悪魔石だっていう証明もできへんよ。」
柚「そうだ!和琴ちゃん、地下書庫に悪魔石の文献って残ってないかな?」
和「文献・・・!そうかあの地下書庫なら残ってる可能性あるわね!」
麗「早速探しに行こう。全員で探せば見つかるかもしれないし。」
悪魔の石について書かれている文献を探して・・・

それから1時間後。全員地下書庫で悪魔の石の手がかりを探すが、全く見つからない状態が続いていた。
和「やっぱりないのかしら・・・」
柚「ここなら手がかりがありそうな気がしたんだけど、見当違いだったかな?」
諦めかけたその時、一冊の本を手に取った奈摘が声を上げた。
奈「あら・・・?この本に悪魔の石について・・・って書かれてますけど?」
和「見つかったのね!でかしたわ天宮城!早速読んでみましょう!」
奈摘が見つけた本を長机の上置き、開いて全員で見てみることになったがそこにはかなり難しい書き方で文字が書かれていた。
咲「なんだろうね・・・この文字?」
麗「これはおそらくカタカナを送り仮名にした昔の書き方ね。現代じゃこんな言い回し使わないって感じの所も多いし。」
環「誰か読めるのいないの?」
凛「私が読んでみます。一応古典文章の読み方は心得てますので。ええと最初は・・・古代騎ノ風ニ伝ワル悪魔ノ石ハ一ツ願イヲ叶エル力アリ。つまり悪魔の石には願いを一つだけ叶える力があると書かれています。」
和「7つ揃えると願いがかなう竜玉じゃあるまいし、なんか胡散臭いわね。」
エ「だけどこの話が本当なら・・・まずい。」
陽「何がまずいのぉ?」
エ「願いがかなうっていうことは・・・必ずこの力を悪用しようとする人間が間違いなく現れる。」
環「つまりは願いの権利を巡って人間が争うし。その結果がSDカードの送られてきた先である2180年の現状を作り出したといっても過言じゃないからね。」
嘉「願いをかなえられる悪魔の石を巡って人々の間で戦争が起こり、滅亡の道をたどるってことやな。」
麗「願いがかなうっていうのは誰にでも魅力的に映るだろうからね。」
苺「うむ、人間の欲望は深いからな。」
凛「まだ続きがあります。争イヲ阻ム騎ノ風ノ民石原一族ハ、悪魔ノ石ヲトアル社ニ封印シタ。ここを読む限り、石原一族という方たちが悪魔の石をどこかの社に封印したようですね。この社について詳しいことが書かれていない上にこれ以降の文章は読めないですね・・・」
和「そういや、神宿の先祖って石原って苗字の一族じゃなかったっけ?」
咲「うん・・・確かに私の一族は昔は石原だったはずだよ。だけどそんな物騒な石があるのなら、私や家族が知っててもおかしくないし・・・」
水「そうだな。アタシも咲彩とはかなり長い付き合いだけど悪魔の石なんて聞いたこともないぜ。」
苺「うーむ・・・あ、そうだ咲彩君、あれは違うのか!?」
咲「あれって・・・何のこといっちゃん?」
苺「この前我と君で君の家の蔵を整理した時見つけたあの石だよ!」
咲「・・・ああ!あの石?確かに雰囲気は悪魔の石って感じではあるよね。」
苺「その石は今どこにあるんだ?」
咲「元の場所に戻したよ。触ったらいけない石のような気がしたからね。」
麗「その石が悪魔の石なのなら、破壊さえすればこの絶望の未来は回避できるわね。」
凛「ですが、そんな強大な力を持っている石を壊すことなんてできるのでしょうか・・・」
苺「どっちにしろ、滅亡の道をたどるぐらいなのならやったほうがいいのだ!咲彩君、我と一緒に石を取りに行くのだ!」
咲「分かったよ、少しかかるけど取りに行こうか。」
水「アタシも行く。2人だけじゃ心配だからな。」
凛「私たちはこの文章を修復する作業をしましょう。花蜜さん、古文書を読み取れるソフトなどはありませんか?」
環「あるよ。スキャナー持ってるから読み込んでみよっか。」
陽「わたしたちは・・・何しようかぁ?」
麗「そうだね、陽瑚はあたしらと一緒に悪魔の石を破壊する方法を考えよう。」
奈「とはいえ、悪魔の石がどれぐらいの大きさなのかにもよりますわよね。」
柚「咲彩ちゃんが持ってこれるくらいなのならそんなに大きくないはずだよ。」
陽「そんなに大きくないんだったら、石切鋸で切るのがいいんじゃないかな?」
麗「それ以外だとハンマーでたたいて壊すとか?」
華「せやけど、壊したら効果無くなるもんなん?悪魔が中から出てくるんやないのかな?」
柚「確かにそれも考えられなくはないね。この騎ノ風には不思議なことが昔から多いからね。」
麗「うーん・・・それよりも、意思を破壊できる工具とか重機って一通り用意できるの?」
奈「用意はできますが、重機はここに入ることはできませんわよ?」
華「それに目立つ動きをしたらここや悪魔の石の事がばれてまうかもしれへんで。」
陽「重機がダメなら工具を集めようよ。何かが悪魔の石に効果があるかもしれないし。」
麗「・・・そうね。それが一番だわ。他にも苺瑠の怪力とかも使えそうよね。奈摘、用意できる?」
奈「ええ。今すぐ連絡して持ってこさせますわね。」

話し合いと文章の解読を始めてから30分後。咲彩たちが戻ってきた。
咲「みんな戻ったよ!」
苺「これが悪魔の石なのだ!」
苺瑠の手には真っ黒い色をした小さ目の石があった。
麗「これが悪魔の石・・・おどろおどろしい色をしているのね。」
奈「工具は取り寄せて揃えましたわ。これで色々試してみましょう。」
凛「皆さん、古文書の解読も終わりましたよ。」
環「全部は無理だったけどね・・・現代技術を持ってしてでも限界があるみたいだし。」
凛「解読した者はこちらになります。」
麗「さっそく読んでみようか。何かわかるかもしれないし。」
愛麗たちは解読されたパソコンの画面に表示された文章に目を向ける。

古代騎ノ風ニ伝ワル悪魔ノ石ハ一ツ願イヲ叶エル力アリ。
コノ石ヲ巡リ国中ガ争イヲスルヨウニナリ、騎ノ風ニ直接襲撃スルモノモイタ。
争イヲ阻ム騎ノ風ノ民石原一族ハ、悪魔ノ石ヲトアル社ニ封印シタ。
石ヲ封印シタコトニヨリ、悪魔ノ石ノ記憶ハ人々ノ記憶カラ消エテナクナッタ。
シカシ、私ノ頭ニハ未ダニ記憶ガ残ッテイル。未来ノ人間タチガマタ悪魔ノ石ヲ
目覚メサセタ時ノタメニココニ悪魔ノ石ノ記録ヲ残スコトトスル。

環「どうやら、悪魔の石は封印されると人々の記憶から消えちゃうみたいだね。」
凛「この本を書いた人は悪魔の石の記憶が残っているみたいなので一部例外はいるみたいですが。」
陽「それで、悪魔の石を目覚めさせないように壊すにはどの工具がいいのかなぁ?」
奈「やはりまず石用のノコギリでしょうかね?」
苺「待ってくれ皆、工具を使う前に、まず我が拳で砕いてみるのだ。ふん!」
苺瑠が石を全力で握りつぶそうとするが、石には傷一つつかない。
苺「はぁ・・・だめなのだ。固すぎるぞこれ・・・」
咲「いっちゃんの怪力でだめなのなら、工具を使っても壊せないような気がするよ。」
?「ちょっとあんたたち!騒がしいじゃないの!」
和「・・・今の声って誰?」
柚「ボクじゃないよ。」
陽「わたしも違うよ?」
華「なら・・・誰なん?」
?「もう、ここよここ・・・分かった、出てくるわよ!」
その言葉の直後、悪魔の石が苺瑠の手を離れて輝きだした。
苺「悪魔の石が勝手に光りだしたのだ・・・」
?「ずいぶん手荒に起こしてくれるじゃない?」
凛「貴方は・・・?」
?「私はこの石の精霊みたいなものね。願いを承る役割を持っているわ。」
麗「そうなの・・・願いをかなえたらどうなるのよ?」
精「願いをかなえれば役割を終えて消えると思うわ。それで、願いは何?」
水「願いをかなえると消える・・・?そうか、それを利用すれば!」
柚「なんか思いついたの水萌ちゃん。」
水「悪魔の石が願いをかなえると消えるっていうんなら、今ここで願いをかなえれば悲惨な未来はやってこない。つまり未来が変わるってことだ!」
エ「確かに・・・元々は願いをかなえる力を巡って戦争が起こったわけだからそうなる・・・」
精「で?願いは何にすんの?」
麗「願いの内容は・・・どうする?」
奈「騎ノ風市を災いが起こらない平和な領域にするというのはどうですの?」
和「それだとなんかこの世の法則を書き換えるみたいなまずいことをしているような気がするわね・・・」
環「この際お金を貰っちゃうってのはどうだし?」
咲「無条件でお金をもらうのはなんだか後ろめたい気がするよ。」
華「・・・なぁ、精霊さん。この願いって現代に生きていない人・・・たとえば未来とか過去の人を助けるということはできへんの?」
精「前後1000年ぐらいまでなら移動できるから問題ないわよ。ただ、過去を変えた場合この世界が崩壊する可能性もあるわ。未来を変えるのはデメリットなしよ。」
華「そうなんか・・・皆、ウチがええ願い思いついたんやけど。」
柚「その願いって何なの?」
華「2180年で苦しんでいるシルクはんを助けるのはどうやろ?」
凛「シルクさんって・・・私たちの時代にこの動画を送った人ですよね?」
苺「それはいいかもしれないのだ!我らの世界の未来はこの事を危惧したシルクさんがいなければ助からなかったわけだし。」
麗「なら、願いはそれでいいわね。精霊、願い事が決まったわよ。」
精「なににするのよ?」
麗「2180年にいるシルクさんって人を救って。この動画で話している人なんだけど。」
愛麗は先ほどの動画を再生しながら精霊に説明した。
精「そいつを助ければいいわけね。了解。じゃ、これで私の役割は終了ってことで・・・」
そう言うと精霊は消えて行った。この場所から悪魔の石の記憶を消し去って・・・
咲「あれ?私たち何してたんだっけ?」
和「あら、ここに本が・・・悪魔の石?こんなおとぎ話みたいな資料誰が使ってたのかしら。」
麗「あたしは知らないわね。あ、パソコンつきっぱなしよ環輝。」
環「パソコン付きっぱなしにするなんてアンもうっかりしてたし。さっさとシャットダウンしちゃおうっと。」
シルクの動画が入ったSDカードは愛麗たちの気づかぬ間になくなっており、動画も消えていた。

~2180年~
とあるビルのコンピューター室にある転送装置。そこの前に祈りをささげる修道服に身を包んだ女性がいた。その女性こそシルクだった。
シ「私の祈りが通じて、誰かに届きこの世界が救われればそれで・・・」
精「シルクってあんた?」
シ「えっ、何者ですか貴方は・・・まさか軍隊の手先・・・」
精「違う違う。私は願いをかなえる石の聖霊よ。今から100年前にいる女の子たちの願いを聞き入れてあんたを助けに来たの。」
シ「ということは・・・未来は変わることになったのですね。よかった・・・これで思い残すことは何もありません。」
精「勝手に死んだ気になってんじゃないわよ。あんたにはこれから新しい人生が待ってるんだから。」
精霊はそういうとシルクの頭に手を当てる。
精「よしっ、これで終わりっと。次に目覚めたときあんたはこの世界の記憶は消えて新しい世界にいるわ。精々楽しみなさいそれじゃね。」
精霊はそう言って消えて行ってしまった。
シ「新しい世界・・・それはどういう意味なので・・・あ、意識が・・・」
シルクの意識は精霊の力ですぐに気を失ってしまった。そして彼女の魂は100年近い時をさかのぼって行った・・・

それから数日後のこと・・・1組ではあることで盛り上がっていた。
麗「なんか新しい保険の先生が来るんだって。」
和「それってどっちなの?保健の科目を担当する先生?それとも保険医?」
奈「わたくしが聞いた話だと両方受け持っているとの話ですわ。」
咲「教員免許も持っている保健の先生って珍しいよね。」
愛麗たちがそんな話をしていると教室に鮫川先生が入ってきた。
鮫「お前たち~。朝の連絡を始めるから聞くように。まずは新しく赴任された先生の紹介だ。先生、どうぞ。」
鮫川先生が言うと、女性が入ってくる。その姿は悪魔の石によって助けられたシルクと瓜二つだ。
白「皆さん始めまして。私は絹傘白久(きぬかさ しるく)と言います。本日から高等部の保険医として勤務させていただくことになりましたのでよろしくお願いいたします。」
咲「あれ・・・?白久先生とそっくりな人とどこかで会ったような・・・?」
白「そうですか?私はみなさんとは初めまして・・・だと思いますけど。」
陽「そうだよねぇ・・・もしあってたら、誰かしら気づくもんね。」
白「ですが、改めて教室を見渡してみると、私も皆さんと会ったことがあるような気がします。まあそれは置いておいて・・・私は普段保健室にいます。調子が悪かったら我慢せずに保健室に来てくださいね。私は軽い症状で保健室に来るなというような厳しいことは絶対に言いませんので。それでは改めてよろしくお願いいたします。」
不思議な巡り合わせで愛麗たちの時代にやってきたシルク改め白久。悪魔の石の願いで平和な時代に転生した彼女にこれからどんな生活が待ち受けているのか・・・

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