和琴、追いかける

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その日、カウンセリングが休みで暇を持て余していた松姫和琴は騎ノ風駅近くを散歩していた。
和「あーあ、なんか面白いことないかしらね・・・平凡な日常がひっくり返るぐらいの大スクープとか・・・」
和琴はそんなことをぼやきながら街を歩く。
和「そう、たとえば闇雲と南星が大喧嘩して対立関係になるとか・・・」
そんなことを言いながら歩いていると、前方に見慣れた2人を見つけた。
和「あれは神宿と南星ね・・・2人揃って何してんのかしら。」
クラスメイトの南星愛麗と神原咲彩だった。2人は仲良さそうに話をしている。
和琴は物陰に隠れてこっそりと様子をうかがう。
和「あいつらにはそれぞれ織田倉と御雲がいるはずなのに2人して仲良さそうにして何やってんのかしらね・・・浮気とかかしら。ちょっと御雲に電話してみるか・・・」
和琴は愛麗と咲彩を追いかけながら愛のスマホに電話をかける。
愛『はい、闇雲です。』
和「あ~闇雲?和琴だけど・・・今あんたどこにいるの?」
愛『飛鳥駅近くのショッピングモールですけど・・・』
和「なんでそんな遠くに?まあいいわ。あんた今南星と一緒にいる?」
愛『いませんけど・・・どうしてそんなことを聞くのですか?』
和「今南星が・・・」
愛『あ、すいません。ちょっと用事関係の人が来たので一旦失礼します。』
愛はそう言うと電話を切ってしまった。
和「あいつ忙しいのかしら・・・まあいいわ南星たちを追ってみようっと。」
和琴は引き続き2人を追いかけることにした。

愛麗たちは話をしながら騎ノ風駅の方に歩いて行った。
和「駅の方に行くなんて、2人でおでかけかしら・・・?電車に乗るってことはこの町から出るのね。ますます怪しいわ・・・」
騎ノ風駅に入ると2人はICカードで改札を通り、騎ノ風市の郊外方面に向かう電車に乗り込む。和琴もすかさず後を追って同じ電車に乗り込んだ。2人は騎ノ風駅から2駅先の飛鳥駅で下車した。
和「意外に近くで降りたわね・・・このあたりは確か商業施設が多いことで知られてるはず・・・」
飛鳥地域は騎ノ風市の東部に位置し、元々神崎一族が治めていた飛鳥村の周辺で現在は商業施設や娯楽施設などが多く立ち並んでいる騎ノ風市屈指の商業エリアである。和琴は気づかれないよう駅から出て、2人を追いかける。
5分ぐらいするとスーパーを中核とした一体型商業施設にたどり着いた。咲彩と愛麗はその中に入って行った。
和「こんなところに何の用かしら?買い物デートとかかしらね。もしそうだったら大ニュースよ・・・」

大型商業施設の中はイノンモール騎ノ風ほどではないが様々な店が入っていた。
中には歯医者や皮膚科などの病院もテナントとして入っている。
和「広いせいか南星たちを見失っちゃったわ・・・まあいいわ。そのうち見つかるでしょ。」
だけど見つからなかったら困るわね・・・そうだ!この前何かに使えるかと思って南星のズボンの胸ポケットに盗聴器をこっそり入れておいたんだったわ!つながるかしら・・・」
和琴は腰に巻いている上着からトランシーバーのような機械を取り出すと電源を入れてショッピングモールのソファに座って接続を試みた。
和「繋がれ・・・」
?「・・・だっけ?」
しばらくするとかすかに声が聞こえてきた。
和「やった繋がったわ!」
声の主は愛麗のようである。しかし盗聴器から上手く音が入ってこずに聞き取りにくい。
麗「それにしても咲彩、わざわざこんなところでやる必要があるの?」
咲「うん・・・だけどこの・・・は秘密事項だからあまり目立つところではできないのよ。」
麗「そうなのねそれでこれからどの・・・に行くんだっけ?」
咲「話し合いの舞台にしてあるのはあそこの・・・よ。先に・・・と・・・が来て場所取りをしているはずだわ。」
麗「・・・揃っての大仕事だもんね。・・・は5日間だっけ?」
咲「一応そういう話にはなってるけど、らっちゃんのこと無理やり誘っちゃったみたいでごめんね。」
麗「そんなこと思ってないわよ。咲彩と一緒にいるのたのしいわよ。それに・・・だっているし。」
咲「らっちゃんは本当に・・・が好きなんだね。」
麗「うん、あたしも・・・のこと大好きよ。ん・・・ポケットに何か入ってる。何かしらこれ・・・」
その言葉を最後にブツと音を立てて接続が途切れてしまった。
和「これどう考えても浮気だわ・・・最後の言葉が決定づけている・・・」
和琴は聞き取った会話を元に自分で予測した会話の内容を文章に書いた。和琴が上の会話を予想して書いた分は次のとおりである(予想して書いた部分には()が入っている)。
麗「それにしても咲彩、わざわざこんなところでやる必要があるの?」
咲「うん・・・だけどこの(プロジェクト)は秘密事項だからあまり目立つところではできないのよ。」
麗「そうなのねそれでこれからどの(店)に行くんだっけ?」
咲「話し合いの舞台にしてあるのはあそこの(ネットカフェの個室)よ。先に(?)と(?)が来て場所取りをしているはずだわ。」
麗「(?)揃っての大仕事だもんね。(自主規制)は5日間だっけ?」
咲「一応そういう話にはなってるけど、らっちゃんのこと無理やり誘っちゃったみたいでごめんね。」
麗「そんなこと思ってないわよ。咲彩と一緒にいるのたのしいわよ。それに・・・だっているし。」
咲「らっちゃんは本当に(私のこと)が好きなんだね。」
麗「うん、あたしも(咲彩)のこと大好きよ。」
和「これは大スクープだわ・・・あら?」
前方のフードコートに見慣れた姿が。先ほど電話に出た闇雲凛世だ。艶々の長い黒髪と首かけヘッドフォンで特徴なのですぐ分かる。隣には天宮城奈摘も一緒にいる。こちらも黄色の長髪をツインテールにしている日本人離れした容姿をしているのですぐわかる。凛世は誰かを待っているのかヘッドフォンで曲を聴いているようだ。奈摘は隣で漫画でも描いているのか必死でペン入れをしている。
和「闇雲の奴さっき電話でここにいるって言ってたけど・・・何してんのかしら・・・天宮城と一緒にいるってことは闇雲も浮気・・・?」
しばらく奈摘と凛世を見張っていると先ほど見失った愛麗と咲彩が愛の前に現れた。
和「神宿と南星・・・?ってことはまさかダブルデートとか?」
その後遅れて水萌と柚歌も顔を見せる。
和「なんで織田倉と色部まで・・・」
更にその後、嘉月と櫻子とも合流し8人となった。
和「雷久保に塩車・・・接点あまりない奴らが集まってるわね・・・これはほんとに何なの・・・」
その後、8人はフードコートを出て、シャッターの閉まっている空き店舗だと思われる場所に行きついた。
和「空き店舗で何をする気かしら・・・」
和琴はもう少し近くで見てみようと近づくが・・・
和「わわっ・・・」
隠れていたソファーにぶつかって大がかりに転倒してしまった。愛麗たちがそれに気づかないはずもなく・・・
麗「・・・何してんの和琴。」
1時間にも及ぶ尾行はこうして終わったのだった。
和「あ~!見つかっちゃった!!!」
櫻「いきなり大声あげないでよ・・・」

和琴はその後、空き店舗に連れ込まれ凛世から詳しい話を聞いた。どうやら凛世がこのショッピングモールから展示会を依頼されていたらしい。
和「ふーん・・・それでこの店舗のオーナーから展示会の依頼をされていたんだ。」
凛「はい、本来依頼されたのは闇雲家の知り合いの芸術家さんなんですけど、その人が急に作品を出せなくなってしまったのでフレッシュな若い子の作品を見るのもいいだろうって私に依頼を丸投げしてきて・・・」
和「闇雲の家系って芸術家が多いからね。」
凛「はい・・・私は音楽専門なので展示できるもの楽譜しかなかったんです。そんな時神宿さんや南星さんにこのお話をしたら自分の作品を展示してくれるというので私助かっちゃいました。」
咲「悩んでいる友達を見て放っておきたくないからね。」
咲彩はそう言いながら、自分で書いたと思われる習字をパネルに張り出している。
柚「だけどさ、無料で個展ができるっていいよね。まあ皆の作品飾ってるから個展ってわけじゃないけど。」
柚歌は自分で描いた風景画を3つほど飾っている。
櫻「自分こういう機会にずっと作品を発表したかったんだよね。ラニーちゃんにせっかく教わったんだし。」
櫻子は絵本とガラス細工を展示するようだ。ガラス細工については事前にラニーに教わって作ったらしい。
麗「まあそういうこと。和琴もなんか展示したいもんあれば持ってきたら?」
愛麗は巨大なジオラマを展示するようだ。どうやって持ってきたかは不明だが。
嘉「ウチなんかはよく写真を展覧会に出したりするねんけど・・・出せないけどいい味出してる作品もあんねや。だからこういった展示会はチャンスなんやで。」
嘉月はそう言いながら自分の撮った写真を咲彩とは別のパネルに張り出している。
奈「わたくしの場合は自分で描いた漫画を多くの読者に読んでもらいたいのですわ。」
奈摘は机の上にコピー本を何冊か配置していた。
水「アタシは別に展示とかしないけどこういうのには力仕事担当が必要だからな。怪力の苺瑠がいればよかったんだけどあいつ今日落語を聞きに行ってていねーからな。」
水萌はそう言いながら新しいパネルの設置などの会場準備を進めている。
咲「みなちゃんは自分で作ってた編み物のじゅうたんを展示すれば・・・」
水「それは言うなバカ!」
咲「展示会の費用は元々展示する予定の芸術家さんが事前に振り込んでおいてくれたので無料です。」
和「へえ・・・闇雲一族の芸術家さんは優秀だ事。あんたたち見ていると1組が天才クラスだって言われている理由が分かった気がするわ・・・」
その後展示会は5日間行われ、大盛況で終わったのだった。しかし、和琴はしばらくの間・・・
「せっかくの大ニュースだと思ったのに・・・南星と神宿の浮気現場~!」
と嘆いていたという・・・

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