好感度の見える懐中時計

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ある日エレナは自分の研究室である発明品を作っていた。
エ「・・・できた。」
その発明品は懐中時計のような形をしている。
エ「これは、人に向けると自分をどのように思っているか・・・すなわち好感度が分かる装置・・・
名付けて・・・好感度チェッカー懐中時計型(タイプ)。ちなみに時計の部分に数値が表示されるから時計にはならない。」
エレナがそう言った瞬間、研究室に誰かが入ってきた。入ってきたのは塩車櫻子だった。
櫻「エレナちゃん、例の物できてる!?」
エ「できてる・・・」
エレナは櫻子に懐中時計型の好感度チェッカーを渡した。
櫻「おお、すごいね!ありがとう!」
エ「好感度の最大値は10だから。それにしてもなんでこんなものを・・・?」
櫻「自分にちょっと気になる人がいて・・・」
エ「そうなの。だけど使いすぎないように使い過ぎると・・・って行っちゃった。」
エレナが言葉をかける前に環子は研究室を出て行ってしまった。
エ「塩車さんのせっかち・・・」

好感度チェッカーを借りた櫻子は学校に行くと早速使ってみることにした。
櫻「ええと、このスイッチで起動するのかな?」
櫻子は好感度チェッカーののスイッチを入れる。すると時計と思わしき部分に0と表示された。
櫻「これを誰かに向けると、自分のことどれだけ好きだから分かるんだね。さて誰に使おうか。」
櫻子がそんなことを考えているとちょうど愛麗と愛が通りかかった。
麗「あ、塩車。何やってんのよ。」
凛「塩車さんもこの時間はお休みなんですか?」
今日は木曜日で選択授業の日。愛麗と凛世はさっきの時間まで授業を受けていたのだろう。
櫻「(ちょっとこの2人で試してみよう。)」
櫻子は愛麗と愛に向かって好感度チェッカーを向ける。愛麗の方に向けると2、凛世の方に向けると4と表示された。
櫻「(え・・・かなりショック・・・)」
麗「何やってんの塩車。」
櫻「唐突で悪いんだけど・・・愛麗ちゃんと凛世ちゃんって自分のこと嫌い?」
凛「急にどうしたんですか・・・」
櫻「2人が自分のことをどう思ってるか気になったからさ・・・」
愛麗と凛世は顔を見合わせて困ったような表情を浮かべる。
櫻「ねえ・・・どうなの?」
麗「あたしたちさ、榎波のこと嫌いじゃないんだけど・・・あることが引っ掛かってるんだずっと。」
櫻「なにそれ。」
凛「塩車さん前に藤沢先生が私たちのクラスの崩壊を目論んでた時に勢いもあったかとは思いますけど、私に髪邪魔で貞子みたいだから切れって言いましたよね?」
櫻「そういえば・・・」
麗「そのことがずっと引っかかっててさ・・・あたしもその後怒っちゃったし。」
凛「それ以降私たち榎波さんが少し苦手になってしまいまして・・・」
櫻「そうだったんだ・・・ごめん。自分はロングヘアにしてもくるくるしちゃうからストレートの愛ちゃんが羨ましかったのもあったと思うんだけど、自分が怒りに任せて髪の毛切れって言ったのをずっと気にしてたんだね・・・」
凛「はい。これでも私は髪のケアをしっかりやっている方なのであの時の塩車さんの言葉がずっと引っかかっていたんです。ですが、今謝ってもらったのでもういいです。これからは仲良くしましょう。愛麗もそれでいいですよね?」
麗「まああたしが言われたことじゃないし・・・あたしもあの時は暴言吐いちゃったし悪かったわ・・・」
櫻「ううん・・・先に言ったのは自分の方だから。2人のことずっと傷つけちゃったみたいでごめん。」
凛「はい。これでもう私たちと塩車さんの間にはわだかまりはありませんからね。」
櫻子は改めて時計を2人に向けると愛麗は7、愛は8と表示された。
櫻「(良かった・・・)」

櫻子は次に和琴と環輝と会った。
櫻「あ、2人とも授業終わったところ?」
和「あたしたちは今それぞれの授業が終わって偶然会ったところよ。」
環「時間まだ早いけど昼ごはんに行こうと思ったんだし。」
櫻「(この2人の好感度も見てみよう・・・)」
櫻子は時計を2人に向けた。環輝は6、は7と表示された。
櫻「(普通ってところかな・・・)」
和「首にかけてある時計をこっちに向けて何してんのあんた・・・」
櫻「いや、ちょっとね・・・」
環「何その懐中時計。見せてよ。」
櫻「あ、いやこれは・・・」
和「塩車、なんかあたしたちに隠してない?怪しいわ・・・」
櫻「別に隠してないよ・・・これ以上問い詰めるといじめと変わらないよ?」
環「別にいじめる気なんてないけど・・・あんたの動きが怪しいから気になるだけじゃん。」
櫻「分かったよ、これはね・・・」
櫻子は2人に時計の概要を説明した。
環「ふうん・・・レナちゃんの発明品なんだこれ。よくできてるじゃん。」
和「好感度が分かる懐中時計か・・・鷲宮も面白い物を作るわよね。」
櫻「うん、それで自分ラニーちゃんが好きだからラニーちゃんの気持ちをこれを使ってみて見たくなったんだよ。もしかしたら自分じゃなくて他の子のことが好きかもしれないし・・・」
和「そんな事しなくたってフェダークの気持ちは決まってると思うけど。」
櫻「え、それってどういう・・・」
環「あ、早くいかないと食券が売り切れるし・・・早く学食いくよ和琴。」
和「分かったわよ。」
櫻「あの、和琴ちゃん・・・ラニーちゃんの気持ちが決まっているってどういう事・・・?」
和「それはフェダークに直接聞きなさいよ。あいつの気持ちはあいつにしかわからないんだから。それと相手の心を見過ぎるのもほどほどにしなさいよってこと。じゃね。」
和琴はそれだけ言い残すと環輝に連れられて去って行った。
櫻「気持ちが決まってるってことは・・・やっぱり好きな人いるのかなぁ・・・」

櫻子は次に苺瑠と出会った。
櫻「あ、苺瑠ちゃん。」
姫「おお、塩車君か。君は授業ないのか?」
櫻「うん・・・自分の取ってる授業相次いで休講になっちゃって・・・」
姫「それなら我と”落語の奥深さ”の授業を受けてみないか?先生が受講者が少ないって落ち込んでいてな・・・」
櫻「(苺瑠ちゃんは自分のことどう思っているのかな・・・?)」
櫻子は苺瑠にばれないようそっと懐中時計を向けた。時計には8と表示された。
櫻「(あれ、意外に良く思われてるのかな・・・)」
姫「塩車くんどうしたの?我の方に時計なんか向けて・・・」
櫻「え、いやこれは・・・」
姫「なんか怪しいなぁ・・・そもそもそれ懐中時計だろう。なんで我の方に向けるんだ?」
櫻「ちょっと時間を確認しようと思ってさ、それが苺瑠ちゃんの方に向いているように見えちゃっただけなんだよあはは・・・」
姫「そうなのか。まあなんでもいいけど・・・そろそろ我は授業へ行くよ。子の授業は我にとっての楽しみでもあるんだよ。」
苺瑠はそう言ってその場を去ろうとする。櫻子は
櫻「ちょっと待って苺瑠ちゃん。最後に少し聞きたいことが・・・」
姫「なんなのだ?授業が始まるし手短にな。」
櫻「ええと・・・苺瑠ちゃんは自分のことどう思ってる?」
姫「塩車君のこと?うーん・・・まあ最初はアイドル教授とか言ってる変な奴だなって思ったけど、その目標に向かって突き進んでいる君のことを変だななんて思ったりしていないのだ。こういう言い方だとちょっとわかりにくいと思うけど、我はそんな君が好きだよ。それじゃあな。」
苺瑠はそう言うと今度こそ環子の元を去って授業が行われている教室に向かって行った。
櫻「(苺瑠ちゃんみたいに自分のことしっかり見ててくれる人もいるんだなぁ・・・それにしてもこの発明品凄い。実験は十分に行ったことだし。ラニーちゃんの所に行って試してみよう。)」

苺瑠と別れたのち、櫻子はラニーの元に向かうことにした。
ラニーに事前にメールをすると彼女は図書館にいるようなので櫻子は図書館に向かった。
櫻「ラニーちゃん!」
ア「櫻子サン。図書館では静かにするデスよ。」
櫻「あ、ごめん・・・」
ア「それで今日はどうしたデスか?」
櫻「(こっそり向けてみよう・・・)」
櫻子はこっそりと時計をラニーに向けようとしたが、洞察力のいいラニーにはすぐ気付かれてしまった。
ア「その時計でなにしようとしてるデス?」
櫻「いや、あのこれは・・・」
ア「ちょっと見せて貰えませんかネ?」
櫻「これで別にやましいことしようとしてたとかじゃないんだよ?自分はラニーちゃんの気持ちを確かめようと・・・」
ア「ワタシの気持ちを確かめる?どういうことデスか?」
櫻「自分・・・前からラニーちゃんのこと好きなの!」
ア「櫻子サン!?」
櫻「だけどさ、ラニーちゃんは別の子のことが好きなわけだし、それ考えたら本当の気持ち聞きづらくて・・・」
そう言うと櫻子はラニーに懐中時計を見せる。
櫻「これレナちゃんに借りた発明品なの!首をかけて相手に向けると自分のことをどう思ってるのか分かる装置・・・これでラニーちゃんの気持ちを聞き出そうと・・・」
ア「・・・なぜデス?」
櫻「え?」
ア「なぜ櫻子サンは発明品に頼ってワタシの気持ちを知ろうとしたんデスか?直接聞けば・・・」
櫻「怖かったからに決まってるじゃない!」
ア「why・・・?怖かったってどういうことデス?」
櫻「前にラニーちゃん自分のこと振ったじゃん・・・別の子のことを選んでさ・・・だけどラニーちゃんへの気持ち捨てられなくて、2度告白してフラれたら、もう自分どうしていいか分からないもん・・・」
櫻子は目から涙を流しながらそう言った。ラニーはそんな櫻子の肩に手を置くと、彼女の目を見て優しく答えた。
ア「櫻子サン、貴方は一つ勘違いをしているデス。」
櫻「勘違い・・・?どういうこと?」
ア「ワタシは誰とも付き合ってないデス。それに・・・櫻子サンはワタシに振られたと言ってマスがそれって前にお話してもらった夢デスよね?」
櫻「そういえばそうだったね・・・」
ア「それと・・・」
櫻「何?」
ア「ワタシも櫻子サンのこと好きデス。ワタシなんかでよければよろしくお願いするデス。」
櫻「ラニーちゃんいいの?」
ア「ハイ!」
櫻「ラニーちゃん!!!」
櫻子はラニーに思わず抱きついた。
櫻「自分、今最高にうれしいよ・・・」
ア「ワタシもデス・・・櫻子サンの肌すべすべで気持ちいいデス・・・」
櫻「(これ、夢じゃないんだよね・・・?)」
櫻子はラニーと抱き合いながらあくまで確認のためこっそりと時計を向けた。時計は最高の数値である10を指していた・・・その様子を本棚の陰から見守る影があった。発明品の時計を貸した張本人であるエレナだった。
エ「(良かったね塩車さん。あの時計使い過ぎると幻聴が聞こえる副作用があるんだけど、愛の力で副作用を跳ね返しちゃったみたい。愛の力ってすごいんだね。)」

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