第1話のような話

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ここは埼玉県(さきたまけん)の北部に位置する騎ノ風市。日本の都市の中では異端な発展をしているのが特徴と言われている。
1350年代の半ばに田園地帯だった場所で国に迫害された人間たちがあつまり周囲一帯を開拓したのが始まりだと言われている。
この町のコンセプトは個性と才能の育成であり、出身者に芸術家やアーティストが非常に多いのが特徴である。
町の中央には水晶学園という私立女子高がある。どんな教育をしているのかを見るためにここの1年1組の様子をのぞいてみよう。

水晶学園の各学年の1組はかつてのクラス振り分けの影響でもっとも才能のあると言われている15人が在籍している。
現在は諸事情で1人抜けているが、ここにいる14人を紹介していこうと思う。
まず、教室前方の席で向かい合って何かしている2人を紹介する。
この2人は神宿咲彩(かみじゅく さあや)と織田倉水萌(おだくら みなも)である。この2人は幼馴染で性格も逆だが仲が良い。
咲彩は天然の巻き髪をツインテールにした和風美人。穏やかで物腰が柔らかく、委員ではないが実質クラスのまとめ役である。
彼女は占いと心霊の才能を持っており、幽霊を見られるレベルの強い霊感を持っている。自分で占いもやっておりよく当たる。将来の目標は占い師。
水萌はポニーテールにした銀髪が特徴のフランスクォーターで美しい見た目とは裏腹にある事情で話し方は乱暴。
彼女は言語習得と翻訳の才能を持ち、日本語以外に5つの国の言葉を話すことができる。将来の目標は外国書籍の翻訳家である。
咲「今日のみなちゃんの運勢は・・・上からの落下物に頭をぶつけないよう注意って出てるよ。」
水「お、おうそうなのか。タライでも降ってくんのかな・・・」
咲「さすがにそこまではわからないかな。この占いまだ設計している途中だし。」
水「今日は頭上に気を付けないとな。鉄球とかだったら最悪死んじまうかもしれないし。」
咲「占いが必ず当たるっていう保証はどこにもないんだけどなぁ・・・」
水「だけど落下物って聞いたら不安だろうが。人ってそんなに丈夫にできてないしさ。」

そんな感じの2人の少し後ろでは3人の少女が一冊の本を囲んで何かを話している。
この3人のうち紫の髪に赤色のカチューシャをして、オーバーオールを着ている子は南星愛麗(なんせい あいら)。
愛麗は大手バイクメーカー「サウス」の社長息女であり、バイクに詳しい。
可愛らしい外見とは裏腹に気が強く怒りっぽいが、頼りになることが多いのであまり嫌われない。背は低いが抜群のスタイルの持ち主でもある。
彼女は文書執筆と数学の才能を持っており、特に数学に関しては7ケタのフラッシュ暗算を難なく正解してしまうほど。将来の目標は作家か数学者。
次に黒髪ロングで帽子とヘッドフォンを着用している子は闇雲凛世(やみくも りんぜ)。
凛世は蕎麦屋を営む叔父のところで暮らしている。とても礼儀正しい性格で友人と話すときも敬語を使っている。
彼女は音楽の才能を持っており、作曲をしたりピアノを筆頭に様々な楽器を弾くことができる。もちろん歌唱力も高い。将来の目標は音楽家。
最後に身長が高めで三つ編みお下げの子は松姫和琴(まつひめ わこと)。
1組の中では比較的良識がありコミュニケーション力抜群だが、毒舌気味で興味のない物事には徹底的に手を抜くところがある。
彼女は心理学の才能があり、自宅の2階で親しい人間を中心にカウンセリングをしている。将来の目標は臨床心理士。
麗「それにしてもこの本面白かったわよね。」
凛「そうですよね!最後、主人公の女の子が殿方ではなくて友達の女の子を選んでずっと一緒にいようって言ったところは感動しましたよ。」
和「あんたたちに勧めてみてよかったわ。この小説あんたたちになら絶対受けると思ったのよ!」
麗「だけど、評価が悪いんだっけ?男を捨てて同性愛に走った主人公が批判されてるみたいだし。」
和「まあね、大半の人はノーマルな純愛を求めているみたいだから。」
凛「はぁ、乱暴な殿方のどこがいいのか私は理解に苦しみます・・・」
麗「だけどさ、人って同じ文章を読んでもそれぞれ全く違う感想を持つものだから理解なんてしなくたっていいと思うわよ。分かり合えない奴らなんてたくさんいるんだから。」
凛「素晴らしい考えですね愛麗。」
和「はいはい相変わらず仲のよいことで。」

小説について話し合う愛麗たちの隣で3人の少女が話をしている。
3人のうち金髪ツインテールの子は天宮城奈摘(うじやま なつむ)。
資産家で金融経営をしている名家の天宮城家に生まれたお嬢様であり、萌え絵を描くのを得意としている。
彼女には漫画の才能があり、すでにプロの漫画家としても活動している。将来の目標は漫画家である。
次に栗毛に大きいリボンを飾っている子は雷久保嘉月(らいくぼ かげつ)。
関西生まれではないが関西弁を話す大人しい性格で、料理と服のデザインを得意とする女の子らしい娘である。
彼女には写真の才能があり、かつてコンテストに贈った写真で金賞を取っている。将来の目標は写真家。
最後に水色のおかっぱ頭で常に手袋を着用している子は鷲宮エレナ(わしみや えれな)。
片腕が義手であり、うまく人と話せないという欠点を持つが頭は非常に良い。エレナという名前に漢字表記はあるが気に入らないのでカタカナで通している。また、水晶学園理事長の孫娘でもある。
彼女は発明の才能を持っており、たびたび問題ごとや窮地を乗り切れるほどの発明をガラクタから作っている。将来の目標は発明家。
3人は昨日やっていたアニメについて話をしているようである。
奈「昨日のアニメ面白かったですわよね?」
嘉「ウチそのアニメ見てへんわ・・・」
奈「あら、嘉月さんには合わなかっんですわね。」
嘉「いや、そういうわけやないんやけど・・・」
エ「・・・たぶんあの作品嘉月ちゃんに合わないんだと思う。」
奈「なぜそんなことがわかるんですのエレナさん?」
エ「あくまで予想だけど、あの作品のヒロインの名前嘉月で嘉月ちゃん同じ名前。だけど、嘉月ちゃんと違って押しが強いから苦手なんでしょ?」
嘉「うう、その通りや。すごいんやなレナちゃんは。」
エ「クラスをよく見てるつもりだから皆の考えることは大体わかる・・・」
奈「それより嘉月さんが見てて辛くなるような作品を無理やり進めてしまってごめんなさいですわ・・・」
嘉「ええんよ、ウチやって奈鶴ちゃんに本当のこと言えへんかったのが悪かったんやし・・・」
エ「・・・別に好きな作品は人それぞれだし、2人ともそんなに謝る必要ないと思う。」
嘉「それもそうやな。」
奈「ええ、今度は嘉月さんでも楽しめる作品を紹介しますわね。」

奈摘たちのすぐ近くでは4人の女の子がカードゲームで遊んでいる。
4人のうちお団子頭にゴーグルが特徴的な子は色部柚歌(いろべ ゆずか)。
頭の回転が速く運動が得意で器用。かつては神童と呼ばれているほど高い能力を持つ。また、女の子には珍しく一人称がボクである。
彼女には絵画の才能があり、描く絵は世界からも高い評価を得ている。将来の目標は画家である。
柚歌の隣にいるパーカーワンピースのフードを被っている子は立屋敷苺瑠(たちやしき いちる)。
通称は苺瑠。クラス一の小柄ではあるが怪力持ちで、壁を1発殴っただけで壊すことができる。話し方も特徴的で語尾になのだをつけて話す。
彼女には落語とわずかにアイドルの才能があり、落語を練習したり、ネットアイドルとして活動している。将来の目標は落語家。
苺瑠の向かいにいる背が高くてたれ目での子は西園寺陽瑚(さいおんじ はるこ)。
クラスの学級委員長ではあるが、大きい体に反して気が弱くビビり。ちなみに咲彩とは従妹である。
彼女は天文学の才能があり、時々天体観測をする他色々な星や宇宙についての知識も豊富。将来の目標は天文学者。
陽瑚の隣にいるサイドテールと眼鏡が特徴的な子は花蜜環輝(はなみつ たまき)。
大学と協力して研究を行っている天才児であり、将来を有望視されている。しかし持っている知識にはすごく偏りがある。
彼女は遺伝子学とパソコンの才能があり、ハッキングで悪い人間の悪事を暴いたり、自分の研究で論文を発表することもある。将来の目標は研究者。
4人はトランプによく似たカードゲームをやっているようだった。
柚「次は苺瑠ちゃんの番だよ。」
姫「むう、我の手札では手の打ちようがないのだ・・・パスで頼む。」
環「ならアンの勝ちだし。はい、あがり~!」
環輝は持っていたカードを全て出して1位抜けを告げる。
環「こういうゲームは戦略を立てないとね。次、ハルの番だよ?」
陽「ええとぉ・・・わたしはこれで。」
柚「なら、ボクも上がりだね。」
柚歌は残っていた手札を全て出し、2位抜けであることを告げる。
柚「ボクも全力を尽くしたつもりだけどこういうのではアンちゃんにかなわないなぁ。」
環「アンはこれぐらいしか柚歌に勝てることないんだしいいじゃん。」
柚「いやぁ、たぶんパソコン技術と情報の成績もアンちゃんのほうが上じゃないかな?」
姫「2人に一気に上がられてしまったのだぁ・・・陽瑚君、我はもう出せる手札がない。次は君の番だがもしや・・・」
陽「うん、わたしも上がりかなぁ・・・」
陽瑚は手札を出し、3位抜けであることを告げる。
姫「なにぃ~!我はまた負けてしまったのか・・・」
環「苺瑠表情が分かりやすすぎるからね。取られるのが嫌なカードを指されたら悲しそうな表情になるし。」
柚「それにこれトランプよりもはるかに難しいから、ある程度の戦術を組み立てないと負けるんだよね・・・」
姫「むむ・・・なら今度は我も戦術を組み立ててプレイしてみるか・・・」
環「(だけど苺瑠って結局わかりやすい表情するから戦術も丸わかりなのよねえ・・・)」

最後に教室奥に2人の女子生徒がいる。
白髪をバレッタでまとめている釣り目の方はラーサ・フェダーク・藤金。
ロシア国籍を持つ外国人で日本語にまだ慣れていないのか所々を片言で話す。運動神経抜群で身軽な大家族12人姉妹の8女である。
彼女は大道芸とアイススケートの才能を持ち、休日に行われるイベントでその腕前を披露することもある。将来の目標は一流のパフォーマー。普段は騎ノ風にある伝統的な工芸をたしなむ舩生緋音の元に居候している。
露出の多い服とうさ耳リボンが特徴的な方は塩車櫻子(えんしゃ おうる)。
一人称が「自分」のやや軍事気質でメリハリのない体を気にして露出の高い服を着る変な子。彼女は孤児であり、それを引き取った義父が元軍隊の絵本作家。
彼女はまだ才能開花前であり色々と試行錯誤を繰り返しているが、目標は大学教授になること。しかもアイドル教授というこれまでにない教授になるのを目指している変わり者である。
2人は1組では珍しく最近起こった自殺のニュースを話題にしているようだ。
櫻「ねえラニーちゃん。この前自殺しちゃった○○っていう男の人のニュース見た?」
ア「はい、みたデスよ。彼は元々そこまで追いつめられていた存在ではなかったという話も聞いたデス。」
櫻「原因は部署移動でいじめられたのが原因なんだってさ。」
ア「仕事がうまくいってなかったみたいデスね・・・それでいじめを受けていたらしいデスから、生きることが辛くなってしまったんでしょうネ・・・」
櫻「彼も騎ノ風市なら生きて行けたかもしれなかったのにね。」
ア「そうデスね。ですが、ワタシはまず人間の認識を改めたほうがいいと思うのデス。人間はそれぞれ得意なことと苦手なことは違うのデスから。」
櫻「自分も欠点ばかりを責める加害者側がどうかしているって思うよ。そいつらだって社会に溶け込めただけに過ぎないし、一人の人を自殺に追い込んだ犯罪者だよ。」
ア「会社にやとわれて生きるというのも簡単そうに見えて案外博打しているのと変わらないような気がするデス。」
櫻「そうだよね・・・どんな人間がいるか入ってみるまで分からないし。だからこそ馬鹿にされても自分が生きたいように生きるのが一番だと思うんだ。」
ア「その通りデスね。最近は80年生きることが当たり前ですけど、昔の人間は若くして戦死したり病死したりしてたデスから。」
櫻「だから自分たちは後悔しないような生き方をしよう。死ぬときにあれをやっておけばよかったと後悔しないためにもね。」
ア「ハイ!もちろんデスよ。」

以上が1年1組に所属する14人の少女たちである。この物語は少女14人による不正な悪と戦いながらも理想の日常と青春と夢を目指す物語である。
え?さっきから語りをしている君は誰なのかって?自己紹介が遅れて失礼。私は鮫川城人。彼女達・・・1年1組の担任をしている教師です。
彼女たちを正しい道に送り出す、それが私のやれること。私は今日もその目標を達成するために教室の扉を開け、教壇に立つ。
鮫「お前たち~!朝のHRを始めるぞ~!」

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