私たちはなぜ閉鎖的な環境でもうまくやれるのか

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今日は珍しく1組14人全員が集まっている地下書庫。それぞれが思い思いの時間を過ごしていた。
そんな中、この地下書庫の提供者でもある和琴が声を上げた。
和「ねえみんな。今日は珍しく全員そろってるしあたし気になることがあるから議論やらない?」
姫「議論か・・・そういえば君がここを解放してからやるのは初めてだな。」
咲「それよりも何が気になるのことちゃん?」
和「あたしらってさ、性格から髪色、体格に誕生日、趣味も血液型も見事にばらばらじゃない。
なのになんでいじめが発生することもなく、仲良くやれてるのかなってことが気になっちゃって。」
麗「全員の持っている属性違うからでしょ。」
和「そういうんじゃないのよ南星!あたしは心理学的観点からこの問題を知りたいと思ったのよ。」
環「よーするに研究意欲ってわけね。アンはそういうのよくわかるし暇だから付き合ってあげる。」
奈「わたくしも興味のある話題ですし、参加しますわ。」
嘉「ウチも。なんか和琴ちゃんの言うこと聞いてたらウチらが上手くやれている謎が気になってきたわ。」
姫「そうだな。たまには意味を持たないことを議論してみるのも楽しいかもしれないのだ。」
凛「私は面白そうだと思うので参加させていただきますね。愛麗、簡単に決めるよりはとことん話し合った方が楽しいと思いますよ。」
麗「それもそうね・・・よし、今回は参加させてもらうわね。」
和「じゃあもうこの際全員参加で!あたしが司会をするからさっそく議論を始めるわよ!」
こうして、和琴の主導で「1組メンバー全員が閉鎖的な環境で仲良くやれているのはなぜか」の議論が始まることになったのだった。

和「それじゃあ、今回の議論の話題は学校という閉鎖的な空間にいるはずのあたしたちが仲良くやれているかについてよ。みんな、さっそく意見を出して言って。」
奈「ではまずわたくしが思い当たることを。」
和「それなら天宮城、お願い。」
奈「わたくしたちが仲良くやれているのは、水晶学園の学校環境がとても良いからだと思いますわ。」
ア「確かにそれはわかる気がするデス。」
奈「水晶学園は偏差値が58相当とはいえ、生徒一人一人の個性に合わせたカリキュラムで全員が夢を目標に入れた適切な教育を受けられるという
素晴らしいシステムがありますわ。わたくしたちが仲良くやれているのは学校のシステムのおかげだとわたくしは思うのですわ。」
水「確かにそれは一理あるな。うちの学校は高校でありながら週の後半は好きな授業を取って学ぶことができるしな。」
麗「好きなことをやることでストレスの軽減につながってるのかもしれないわね。」
柚「そもそも水晶学園って閉鎖的な環境って言えるのかな?クラスの移動も自由だったりするし。」
環「選択授業も色々な教室でやってるしね~」
姫「うむ、確かに学校としては特殊な方だと思うのだ。」
麗「腐った教員もたまにしかいないしね。」
和「つまり・・・水晶学園の特殊な環境があたしたちにあっていて気持ちよく過ごせているから小さな衝突が起こらないってことね。」
柚「それ以外にもさ、ボクたちって合流した時期は違うけど実質幼馴染みたいなものじゃない?それも影響しているんじゃないかな。」
姫「ふむ、付き合いの長さが我らの仲の結束を高めているということなのだな。」
咲「確かに付き合いが長いと、一生続く友情もあるよね。」
嘉「せやけど、友達30年目あたりで価値観の違いに気づいて関係がこじれるって話もよく聞くでウチは。」
環「結婚して子供ができたりして立場が変わると価値観のずれが起こりやすいっていうよね。アンは研究に行った大学でそういう人見たことあるよ。」
水「だけどさ、アタシらはそういう未来を迎えないようにしたいよな。これだけバラバラの14人がそろってるんだ、擦れ違いで絶交したらもったいないぜ。」
麗「聞いた話によると一生の友人って生きているうちには見つけられない人もいるらしいからね。」
凛「私たちもまだ一生の友人になるかどうかはわかりませんが・・・」
エ「そこはなるかどうかじゃなくて私たちの力でなるように変えていけばいいと思う・・・」
凛「あら、そこは盲点でしたわ。」
和「少し考えればそれぐらいわかることでしょうが・・・他に何かある?」
陽「はーい。わたしが一つ思いついたことあるよぉ。」
和「何、西園寺?」
陽「わたしたちは長所が違うから欠点を補い合えるんじゃないかなぁ?それが仲の良さにつなっているような気がするよぉ。」
麗「あたしたちの仲じゃ互いの長所を生かして助け合うのは当たり前になっているわよね。」
嘉「ウチらの持っとる長所が違うからこそ補い合うことで結束力が生まれるんやな。」
咲「それと、さっきの意見の・・・クラスがあっても出入り自由とかの制度のおかげで一つのクラスに縛られないって所も影響していると思うよ。
いつも同じメンバーと一緒に一室に閉じ込められるみたいな閉塞感をあまり感じないのもあるんじゃないかな?」
凛「確かに水晶学園で閉塞感を感じたことはないですね。」
エ「私は学校が自分の家以外の居場所にもなっている・・・」
水「実際アタシらは他のクラスのやつにも知人や友人多いもんな。」
和「つまりは見張られることもない解放感のある環境で過ごしているから、さっきのそれぞれ強みが違う要素との相乗効果で
自然と助け合うようになれるほどの心の余裕があたしたちにはある。だから過ごしやすい環境を生成している・・・ってことなのかもしれないわね。」
姫「だが、我らの仲でいわゆる女の負の面が誰にもないっていうのは珍しい気もするのだ。」
奈「女の負の面と言いますと、いわゆる上っ面の友情ってやつですの?」
麗「上っ面の友情ね・・・そんな友情で満足してるやつなんて自分を持ってない面白みもない奴なんでしょうけどね。」
エ「周りに合わせることで自分を見失った愚の骨頂・・・」
咲「そういう人たちって集団圧力とかかけてくる割りには一人じゃ何もできないことが多いよね。」
水「アタシたちは一見群れているように見えるけどそうじゃないんだよな。」
環「お互いの長所を生かして助け合ってるだけっていうか・・・そんな感じよね~」
和「群れないけれど協力はしあう・・・それもあたしたちが上手くやっていける理由になっている気がするわね。」
柚「それってさ、なんだかんだで皆それぞれが友人皆のこと大好きっていう意思表示みたいでかっこいいよね。」
麗「うん、なんかそれ分かる気がするわね柚歌。」
凛「満二崎さん、そろそろ出し合った意見を大きくまとめておいた方がいいと思いますよ。」
和「そうね。それじゃ、書いていくわよ・・・
あたしたちが学校という閉鎖的な環境でうまくやれているのは水晶学園自体が特殊で過ごしやすい環境を整備してくれているから、そのおかげでストレスがたまりにくくなっていることと、
腐った大人や女の負の部分を持っている人が1組にはいないから自然と誰しもが協力関係になれるからこそ、ここぞという時は一致団結できることと、
あたしたち自身が14人それぞれにとって一生の友人に匹敵する存在なのではないかということ・・・こんなもんかしら?」
麗「大体そんな感じね。」
咲「この問題って考えれば考えるほどわからなくなってきちゃうよね。」
水「環境と友情の議論に答えなんてないのかもしれないな。」
柚「この議論をしていてボク思ったんだけどさ・・・」
和「何よ色部?」
柚「ボクたちって14人の中の誰かとそれぞれ恋人同士になっているじゃない?」
奈「言われてみれば・・・」
ア「確かにそうデスね。」
柚「その事がもう答えになっちゃってるんじゃないかな?」
エ「どういうこと・・・?」
柚「全員がこの14人の範囲内でカップルになっているっていうことは誰かと誰かが必ず一緒になっているわけじゃない?
つまり、14人でくっついているようなものだから、ボクたちの友情は一生続くんじゃないかな?
だって離れたくないと思えるほど仲がいいってことだからね。」
陽「ちーちゃん、そこは盲点だったよぉ!」
柚「ボクもあくまで憶測で行っただけなんだけどね。」
麗「アンとかかなり付き合う相手変わってるけど、その割には14人の中の誰かと必ず付き合ってるわよね。」
環「その辺は7又浮気性のバカ親父の遺伝なのかもしれないしね~嬉しくないけど。」
和「それじゃ、色部がほぼ結論になりそうな答えを出してくれたし、今日の議論はこれで終わり。みんなお疲れ様。」
和琴の一言で、議論はそこで終了となった。

その日の夜、和琴は愛用のパソコンで議論の議事録を書いていた。
和「それにしても不思議よね。あたしたちは性格も趣向も何もかも違うのにいじめもおこらず平和的に過ごせるだなんて。
普通だったら短気な南星辺りが細かいことで切れて場の空気を悪くしたり、西園寺みたいな行動が遅い奴が腹立つっていう理由で針のむしろにされることなんて珍しくないけど・・・」
和琴は議事録を書くのをいったん止めて今日の議論を思い出しながら考え事を始める。
和「あたしたちが一生の友達かぁ・・・ま、休日とかも一緒に遊んだりすることが多いし、あながち間違ってないのかもね。」
パソコンの画面に表示されている議事録を見つめながら和琴はそんなことを思ったのであった。

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