3年A組鉄拳先生 その3

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この作品はドラマ形式でお送りいたします。
キャスト 水萌=鉄拳先生 咲彩=神原先生 他の1組メンバー=A組生徒 大林先生=山岳部顧問大林

ここは、騎ノ風市にある県立高校騎ノ風学園。この学校は元々エリート進学校と言われていたがここ数年で急に荒れはじめ、不良と呼ばれる生徒がたくさんいた。
そこに鉄拳直という教師がいた・・・彼女は自慢の拳で生徒たちと語り合い、時に生徒を助けていた。そんな彼女を周りの人たちはこう呼んだ。「鉄拳先生」と・・・

第3話 危機一髪!恐怖の林間学校

騎ノ風学園ではもうすぐ林間学校が開催される季節になっていた。この林間学校では必ず同行する先生がいた。
その先生は大林先生。彼は教員になる前日本のたくさんの山を登り歩き、自然の恐怖をしっかり理解している人間だった。
そのため、林間学校の企画や準備は彼がひとりで行っており、それが毎年同行する理由でもあった。
林「騎ノ風学園教師のみなさん!今年も林間学校の季節がやってきましたねえ!!!」
水「林間学校?高校3年なのにそんなイベントあるなんて珍しいな。」
林「鉄拳先生は始めてでしたっけね。まあ私が1年も2年も3年でもやってほしいと希望したので全学年やってるんです!」
水「3年はこの季節になると受験準備で忙しくなるのではないですか?」
林「だからこそ自然に行って受験前のリフレッシュにするんです!そして育まれる一生の仲間たちとの友情・・・ああ美しすぎる!」
水「(暑苦しいなこいつ・・・)」
林「それじゃ、鉄拳先生も期待していてくーださいーねぇ!!!!!!!!!!!!」
水「(うるせえ・・・)」
大林先生は大声を上げながら去っていく。しかし、彼は心の中ではこう思っていた。
林「(不良クラスのA組風情が、俺の林間学校から無事に帰ってこられると思うなよ。)」

そして林間学校当日。3年生は騎ノ風学園の校庭に来ているバスの前に集合していた。
麗「なんであたしたちがこんな暑苦しい男がやってるイベントに参加しなきゃいけないのよ。」
凛「ほんとですよね。」
和「これなら勉強していたほうがまだましよね。」
水「まあそういってやるな。大林先生だってこのイベントに全力で取り組んでいるんだからさ。」
林「皆さん!今日はよくお集まりくださいました!今日は○○にある巨体山までいき、そこでぜひ仲間とのきずなを深めましょう!それで・・・」
そこから大林先生の話は30分ほど続いた。聞いてられなくて眠ってしまう生徒も続出した。
林「それでは、これより出発します!クラスごとに指定されたバスに乗り込んでください!」
ようやく大林先生の話は終了、A組、B組、D組の生徒はそれぞれバスに乗り込んだ。ちなみにC組は前回の騒動の影響で全員謹慎中となっている。
バスが騎ノ風学園を発車して1時間後。バスは巨体山のふもとまでさしかかる。
水「あれが巨体山か・・・でっかい山だな。」
咲「この地域では相当大きい山だそうですよ。」
林「いやーいつみても大きい山ですこと。今日も昇るぞ~!」
麗「(やかましいなあこいつ・・・)」
凛「(なんで私たちのバスの運転をしているんですかね)」
水「まさか大林先生がバスの運転免許を持っていたとは思いませんでしたが・・・それよりA組のみんな!いい登山にしような!」
和「まあここまで来ちゃったんだし楽しい思い出にしたいわよね。」
林「(いい登山か・・・それはどうかな?)あれ、野生の動物だ。引いちゃ悪いから止まっておこう。」
大林先生はそう言った瞬間、一気にブレーキを踏みこんだ。
しかしうまくブレーキはかからず、バスの車体は滑りだして崖の方に突っ込んでいく。
林「あれ?おかしいブレーキが利かないぞ・・・?」
水「大林先生、どうかしたんですか!?」
林「バスのブレーキが利かないんです!!!うわあああああああ!!!」
大林先生が必死の運転をしたおかげでなんとかバスは崖に引っかかりはしたが今にも落ちそうな状態である。
水「みんな大丈夫か!?」
咲「怪我している子いない?」
麗「こっちは大丈夫!」
和「だけどバスがこんな状況じゃ体少しも動かしたら落ちるんじゃないの・・・」
柚「他のクラスのバスに助けを呼んでもらってよ!」
水「大林先生、連絡を・・・」
林「それは・・・無理だな。他のクラスは相当後ろを走っているだろうから助けになんか来ない。
それに加えここは携帯電話の電波も届かない場所・・・お前たちの死に場所だ!」
大林先生はそういうと、運転席のレバーを操作して運転席横の扉を開き、そこから這い上がって脱出した。
咲「一人だけで逃げるつもりですか!?」
水「それに死に場所って・・・お前まさかアタシたちを本気で殺そうとでもしていたのか!?」
林「ああそうだよ。お前らのせいで騎ノ風学園は評判ダダ下がりだ!おまけに沼田と教頭を消したのはお前たちが原因だろ?
俺はあの2人とは仲良くさせてもらってたんだ。なのにお前・・・鉄拳!お前が来たからあの2人は学園を去って行ってしまった。
お前に分かるか?友を2人も失った俺の気持ちが!!!」
水「わかんねえよ。あんな生徒を傷つける奴らの気持ちなんて。お前も仲間だったのか・・・」
林「まあそういうことだな。俺がこのバスをけり落とせばお前らは地獄に一直線。どっちにしろ死ぬ運命だったんだな。
それに俺がバスを運転していたのはなぜかわかるか?それはお前らを地獄に送るためだ。他のクラスのよりも早めに運転していたのも
救援を呼ばせないため、崖で滑ったのはバスのブレーキオイルをあらかじめ少なくしておいたからだ!!!
さーて・・・たくさん焦らしてから地獄へ蹴り飛ばしてやるよ。」
水「ちっ、アタシらを殺すためにそんな手の込んだことを・・・」
麗「大林も結局自分の事しか考えていない最低の人間だったわけか・・・」
凛「今日はせっかく思い出を作ろうと思ってきましたのに・・・」
和「全部ぶち壊しだわ・・・最悪よ。」
柚「教師も捨てたもんじゃないと思ったけど・・・」
エ「幻滅・・・」
咲「みんな・・・」
水「お前たち!まだ死んでないだろ!生きる希望を捨てるな!」
環「こんな状況でどうしろっていうのよ!大林が私たちの命を握っているようなもんじゃん!」
水「考えるんだ!この状況を打破できる何かを・・・」
鉄拳先生は辺りを見回す。すると、自分の席の前に置かれていたロープとすぐ近くの崖に生えている木が目に留まった。
水「これだ!神原先生、みんなを頼む!」
咲「えっ、分かりました。」
水「届け・・・それ!」
鉄拳先生はすぐ横のバスの窓を開き、ロープを崖に生えている木に向かって投げる。ロープは無事に木に絡まった。
水「よし、いくぞ!おらあああああああ!!!」
鉄拳先生はロープをしっかりつかむとバスの窓をけ破って脱出に成功した。
水「脱出はできた・・・だが、木が長時間アタシの体重を支えることはできないな。それならこうだ!」
鉄拳先生はロープを手放し崖に飛び移る。
水「昔ロッククライムしたことはあったけど、準備なしで岩肌を登るのは辛いな・・・いや今はそんなこと言っている場合じゃない!
生徒たちをあの最悪人間から救うためにも昇り切ってやるぜ!」
鉄拳先生ががけを登っていることなど気づかない大林先生は余裕の表情をしていた。
林「さーて、そろそろ蹴り落としちゃおうかな~!そして俺は後から来る奴らと林間学校を楽しむ・・・」
水「そうはいかない!」
林「な・・・誰だ!?」
水「ふぃぃーやっと登りきったぜ!」
林「鉄拳!?なんでお前そんなところに・・・」
水「お前が余裕を物故いている間に脱出して崖を登ってきたんだよ!」
林「馬鹿な・・・この崖を登っただと!?」
水「自分は友情だの絆だのほざいて、気に入らない奴は事故に見せかけて殺してやろうってか?
お前は思いやりのある熱血教師だと思っていたけど、結局はクズの卑怯者だったってわけだな。
そんな奴はアタシのダイヤモンドの拳で制裁だ!!!」
林「ぐあああああああ!!!」
鉄拳先生は大林先生を殴りつける。大林先生は山側の方に飛ばされたものの山側の壁に叩きつけられた反動で、そのまま崖側に歩いていき・・・
林「くそ、俺はまだ死んでな・・・うわああああああああああ!!!」
足を踏み外して崖に転落してしまった。
水「さて、救援を呼ばないとな。」
その後ようやく到着したB組のバスが助けを呼んでくれ、救助隊によってA組生徒と神原先生は無事に救出された。
ちなみに大林先生も一命は取り留めたものの、首の神経を損傷してしまい二度と体が動かなくなった。
林間学校は当然ながら中止。大林先生は身体不自由のまま警察病院へ入ることになったという。教師ももう二度とできないだろう。

事件から数日後、大林先生のいなくなった職員室は少し静かになっていた。
咲「鉄拳先生だいぶA組の子たちから信頼されるようになりましたね。」
水「まあな。だけどあの時は本気で死を覚悟したぜ・・・」
咲「ほんとですよ。まさかバスの窓をけ破って飛び移るなんて考えもしませんでしたから。」
水「無茶して悪かったよ・・・」
咲「別にいいですよ。こうしてみんな無事に帰ってこられたんだから。」
水「それもそうだな。さて、今日も授業をしに行くか!!!」
騎ノ風学園から悪しき教師がいなくなるまで鉄拳先生の制裁は続くのである・・・

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