南の島でのハプニング その2

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ここは騎ノ風島の北側。分離した自家用機の一部が北の森の中に墜落している。そこにいたのは・・・
咲「みんな無事・・・?」
環「アンは大丈夫だけど、眼鏡がやばいかも・・・また修理なんてもういや!」
柚「ボクもなんとか・・・」
姫「我も何とか大丈夫なのだ・・・だけど足が痛いのだ・・・」
櫻「なんなんだよもう・・・あ、自分のリボンが破けちゃってる!!!」
島の北側に墜落したのは咲彩、環輝、柚歌、苺瑠、櫻子の5人のようである。5人ともけがを負っている。
咲彩は腕と露出した腹部に切り傷が見られる、墜落した時の衝撃で自家用機の切断面やそこら中に生い茂っている草で切ってしまったようだ。
環輝は体自体には問題ないようだが眼鏡のつるが曲がってしまったようである。
柚歌は髪が乱れ、ゴーグルのレンズにヒビが入っている。
苺瑠は足を痛めてしまったようだ。何とか歩くことはできるようだが。
櫻子は特徴の耳リボンが破けてしまっている。常にむき出しの足にも何か所か切り傷が見られる。
咲「どうしようこれから・・・」
環「ほかの皆は無事なんかね・・・」
柚「携帯はこの島じゃつながらないみたいだね・・・」
姫「5人とも無事で本当に良かったのだ。」
櫻「今回は日帰りの予定だったから軽い荷物できたからね。そんなに重たいものは持ってきてないし。」
咲「それじゃまず食料の確認をするわね。皆食べ物は何もってる?」
環「お菓子が5袋ね。アン燃費悪いからもっと持って来ればよかったし・・・」
櫻「自分はガムしか持ってないなぁ。」
姫「我は飴なら持ってるけど、全員で分けると終わってしまいそうだなぁ。」
柚「ボクはこういうことを想定内に入れて緊急時のために持ってきたペットボトルの水が5本かな。」
咲「結構持ってるんだね・・・私は食べられそうなものは持ってないんだよごめん・・・」
環「それはともかく、これからどうするの?あたりはどこを見まわしても森みたいだし・・・」
柚「ん・・・?この先に人口建造物の反応があるけど・・・」
姫「なんでそんなことがわかるのだ柚歌君?」
柚「前にエレナちゃんから借りた発明品、超金属探知機に反応があるんだよ。これは、人口建造物が近くにあったら知らせてくれるんだ。
レーダーとしての機能も持ってるんだよ。この方角だと北の方から反応があるみたいだね。場所もそんなに離れてないみたいだよ。」
咲「どうする・・・行ってみる?」
環「ほとんど開拓されていない島にある人口建造物ってロマンじゃね・・・これはもう行くしかないっしょ!」
櫻「だけど、方角もわからない場所でむやみに動き回ったら危険じゃない?」
姫「だが、ここで待っていても騎ノ風島の住民に見つかるだろうし、野生生物に襲われる可能性だってあるのだ。」
環「それに、その人口建造物の中に島から脱出できる乗り物があるかも。」
咲「うん、そうだよね・・・それじゃあ必要なものを持って行ってみましょうか。」
咲彩たちは金属探知機を頼りに人口建造物があると思われる北へ向かった。

森の中を歩いて5分ほど。咲彩たちは超金属探知機が反応を出した場所まで行った。
そこには、コンクリートでできたと思われる建物があった。
環「ええと、騎ノ風市営………研究所・・・文字がかすれててよく読めないけど・・・ここは研究所だったみたい。」
柚「肝心の研究内容が消えてるみたいだから、何を研究したかについてはわからないけど、かつてはこのあたりに人が住んでいたのかもしれないね。」
姫「森の中にあるということは得体のしれない研究をしていた可能性があるとも考えられるな。その研究のために会えて人が寄り付かない森の中を選んだのかもしれないのだ。」
櫻「得体のしれない研究か・・・たとえば人体実験とか?」
咲「怖いこと言わないでよ・・・」
環「門は閉まってるみたいだし・・・錆びついているから簡単に開けられそう。苺瑠、ちょっとお願い。」
姫「任せるのだ。」
苺瑠はどこに持ち歩いていたのか、ボクシンググローブを取り出して右腕にはめる。そして、渾身の力で門を殴り飛ばした。
姫「おらあああっ!!!」
苺瑠のパンチをまともに受けた門は耐えられるはずもなく、殴った部分が崩れ去り通れるようになった。
環「それじゃ、いきましょ。」
咲「ほんとに何の研究所なのかしら・・・」
姫「痛たた・・・ちょっと力を籠めすぎてしまったみたいなのだ。」
柚「苺瑠ちゃん大丈夫?ちょっと腕見せて・・・」
櫻「あっ、待ってよ自分を置いていかないで・・・」
こうして、咲彩たちは謎の研究所へと足を踏み入れたのであった。

研究所の中はまさに廃墟と言わんばかりの不気味でホラーな雰囲気を漂わせていた。
それに加え、病院のベッドがたくさん置いてある部屋や、誰のものか分からない血痕もあり、咲彩たちの恐怖をさらにあおる。
柚「この研究所って何を研究していた場所なんだろう・・・」
環「内装からするにやっぱり人体実験じゃね。出なけりゃ血痕があるなんておかしい話よ。」
咲「動物の実験とかなんじゃないの・・・」
姫「動物実験も十分残酷なのだ。今ここは廃研究所だから昔の騎ノ風市の上層部がやっていたんだろうなぁ・・・」
櫻「それにしても・・・自分はこの不思議な感覚好きだな。」
姫「すごいな櫻子君は・・・我は不気味すぎて何か出そうな気が・・・」
苺瑠がそう言いかけた時、ちょうど通り過ぎようとしていた部屋からガタリと物音が聞こえた。
咲「ひゃっ!今の音なに!?」
柚「この部屋から聞こえたみたいだね。入ってみようか。」
咲「物音がする部屋開けるなんてだめだよ!」
環「そこまで心配しなくても大丈夫よ。」
環輝がそう言って物音が聞こえた部屋の扉を開いた。
咲「あれ?何も異変ない・・・」
柚「なんだ、あの本が机から転げ落ちただけみたいだね。」
柚歌が指さす方には、机から落下したと思われる本が落ちている。
咲「なんだぁ・・・よかった。」
環「部屋自体は特に問題ないみたいね・・・ここは書斎みたい。調べてみれば何か見つかるかも。」
環輝はそういうと、部屋の本棚から様々な書籍を取り出し読み始めた。
環「ええと、騎ノ風市は19××年に発足し、この島は今後の・・・なんだ歴史書かぁ。アンは興味ないし。」
環輝はそういって本を投げ捨てる。
咲「アンちゃんあまり荒したら駄目だよ?」
柚「ここはもう廃研究所だからそこまで心配しなくてもいいと思うよ。あ、この本面白そう・・・あれ、これ日記みたい。」
咲「もう、ちーちゃんまで・・・」
柚「・・・あ、この日記はこの研究所について書かれたものみたいだよ。」
姫「本当か柚歌君!」
柚「うん・・・ここは騎ノ風市営個性研究所って所みたいだね。人の個性の研究をしていたみたいだ。」
櫻「そんな研究所ならなんで血痕が壁に付着してるんだろ・・・」
柚「ちょっと読み進めてみるから待ってて・・・ん、これは・・・」
咲「何が書いてあったの?」
柚「どうやらここは、騎ノ風市のやり方に反対してこの島に来た者たちによって途中から別の研究をしたことになっているみたい。」
姫「その研究内容ってなんなのだ・・・?」
柚「そこまで日記には書かれていないけど、この日記を書いた研究所所長が襲われてからだろうね。ここがおぞましい研究所になったのは。」
櫻「おぞましい研究って結局なんなんだろう?やっぱり人体実験かな血痕が付着しているところから見ると。」
姫「しかし、これだけ血痕が飛び散っているのに人間や動物の遺体などは一切見当たらないのだ。人体実験だと決めつけるのはおかしいのだ。」
咲「2人とももうグロテスクな話は止めて・・・」
柚「ちょっと本の一部を読んでみるよ。」
柚歌が読み上げた内容は以下の通りであった。

19××年8月3日
我々の巧みな努力によりついに騎ノ風町が発足した。周辺の市の一部を編入させたり、鉄道や商業施設、教育施設を勧誘したりとここまで非常に長かった・・・
ここは元々不毛の地。宿場町も近隣の行田や鴻巣にあるがゆえに誰にも相手にされなかった場所。私は町長と力を合わせてこの地を埼玉県(さきたまけん)北部の中核都市にするのが夢だ。
未来の子供たちが安心して暮らせる居場所になるよう尽力を尽くしたいと思う。

19××年9月15日
騎ノ風町の発展は順調で、早くも騎ノ風市になるという話が持ち上がってきている。
10年後をめどに騎ノ風総合大学も完成する予定だ。この学校は今の日本で軽視されがちな生徒の個性を重視したカリキュラムで教育を行うことになっている。
騎ノ風市を中心に精神医学の発達にも努めていきたい・・・しかし、最近は協調性を求める人間の声が大きくなってきたような気がする。
奴らは私たちの思想を病気だのキチガイだの言って反論してくる。奴らを何とかしなければ騎ノ風市に平穏は訪れないだろう・・・

19××年10月2日
協調性派が私たち個性派に対して宣戦布告をしてきた。奴らは攻撃的で騎ノ風町のいたるところに危害を加えるのでこの研究所にも被害が及ぶ。
市長が騎ノ風町が所有している太平洋に浮かぶ孤島騎ノ風島へ研究所の移転を提案してくれた。
協調派は銃を持ち、私たちに襲いかかってくる。これでは未来都市騎ノ風市の研究だってできたもんじゃない。
しばらくは静かに研究ができそうだ・・・

19××年10月18日
なんと協調性派を率いていたのが市長であることが判明した。
市長は表向きでは個性尊重の考えを掲げていながら裏では協調性派の活動に協力していたらしい。
私たちをこの島に追いやったのも個性の研究をしている私たちを厄介に思ったからだとか・・・
もう私は長く生きられないのかもしれない。

19××年11月5日
協調性派が市長の命令で攻めてきた。相手は100人以上いる。私たちでは対処しきれない・・・
騎ノ風町を離れてもう1か月。みんなは元気でやってるだろうか。
協調性派に襲われたら最後もう私は生きていないだろう。しかし、この1か月私は未来の助けになるよう精いっぱい研究をした。
しかし、この研究すべてを騎ノ風へ送る方法はない。1枚ずつFaxで送るなどのことをしていれば焼き尽くされるのも時間の問題だろう。
なので、大切なものだけをFaxで送信し、残りは研究所の地下に私の研究した証を残すことにする。
もし地下の部屋を再び開くものが現れるのならば、協調性よりも個性を大事にするものであらんことを祈る。

騎ノ風市営個性研究所所長 伍代……

柚「日記はここで終わってるよ。この伍代っていう人が個性研究所時代の所長で、研究の成果を地下の隠された部屋にしまったらしいね。」
姫「そうなのか・・・それなら地下に行ってみるか?何か見つかるかもしれないのだ。」
柚「いや、まって・・・地下への扉は厳重なパスワードで保管されているみたいだ。残念ながらパスワードの書かれた部分が破り取られている。
これだと扉まで行ったとしても開けることはできないと思うよ。」
櫻「そんな・・・」
咲「あれ、ここに何か紙が挟まってる・・・」
咲彩は日記に挟まっていた。小さい紙を取り出した。
咲「ええと、パスワードはこの島にある第2個性研究所の地下に隠すことにする・・・だって。」
姫「それってつまり、第2研究所に行けばあるってことなのだよな・・・」
環「だけど下手に動いたらこの島の連中に見つかってどうなるかわかんないし。この島の島民っておそらくこの日記に出てきた協調派の子孫だろうし・・・」
咲「それにみなちゃんやらっちゃんたちもどこに行ったのか心配だよ・・・」
柚「よし・・・それならしばらくここに立てこもろう。」
姫「立てこもるって・・・ここでしばらく待機するってことなのか。」
柚「そうだよ。アンちゃんの言うとおり下手に動いた場合体力を消耗するから危険すぎるよ。それにここが森の中にあるということは、島民の集落はおそらく逆方向の南にあると思うんだ。
だからしばらくはここにいたほうがいいと思うんだ。それと環輝ちゃん。」
環「なに?」
柚「ここにある電子機械で通信機を作れないかな・・・それがあれば愛麗ちゃんたちと連絡が取れるかもしれないんだ。」
環「おけ、何とかやってみるし。」
咲「それにしても・・・みんな無事かな・・・」
個性研究所跡地にしばらく立てこもることを選らんだ咲彩たち。通信機は完成するのだろうか・・・そして他のメンバーたちはいずこにいるのだろうか・・・

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