南の島でのハプニング その3

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咲彩たちが騎ノ風島北部に墜落した時と同じころ。
4つに分かれた自家用機の一部が島西側の平原に墜落した。
西側に墜落した機体に乗っていたのは愛麗、凛世、水萌、奈摘、和琴の5人だった。
麗「いたた・・・なんなのよもう!」
凛「私たち助かったんですね・・・」
水「みんな無事か・・・?」
和「ここは平原みたいね・・・」
奈「周りには誰もいないみたいですわ。」
北部に落ちた5人と同様、愛麗達も所々負傷していた。
麗「急に飛行機が墜落するなんて・・・やっぱり市長にだまされたのかしら。」
和「その可能性は高いわよね。それよりもこの島から脱出する方法を考えましょう。
あたしはこういう時を想定して、非常時に役に立つグッズ持ってるから。」
和琴はそういうと、方位磁石を取り出して方角を調べる。
和「海岸のほうが西だから・・・この場所は島の西側みたいね。」
麗「西側かぁ・・・それにしてもこの辺は何もないけど集落はどのへんなのかしら・・・」
凛「北のほうには森が見えますね・・・」
和「それなら集落は逆の南方向にあるはず。」
麗「なんでわかるのよ・・・」
和「森っていうのは未開の地でもあるってことじゃない。だから逆説で未開の地の反対である南方向に集落があると考えていいはずよ。」
奈「そういった見方は大切ですわね。」
水「なるほどなぁ。」
麗「感心してる場合じゃないでしょ・・・早くここから出る方法を探さないと・・・」
愛麗がそう言いかけた時、近くの草むらでがさがさと音がした。
水「なんだ!?」
男1「ウウウ・・・オンナ・・・オンナガイル!!!」
男2「タブンシチョウサマノクレタイケニエダツカマエロ!!!」
和「逃げたほうがよさそうね・・・」
麗「ええ・・・みんな逃げるわよ!!!」
男1「ニゲタゾ!ツカマエロ!!!」
愛麗の一言で5人は一斉にその場から逃げた。しかし島民と思われる男たちは追いかけてくる。
男2「ウガアアアアアアア!!!」
麗「なんでこんな目に・・・」
水「今は逃げることだけを考えよう・・・」
和「(それにしてもシチョウサマノクレタイケニエってまさかあたしたち本当に騙されたってこと・・・)」
愛麗たちは必死で逃げ続けた。時間がたつにつれ、男たちよりも愛麗たちの足のほうが勝り、何とか男たちをまくことに成功した。
必死で逃げ続けた結果、愛麗たちは島の西にある岬の近くまで来ていた。
麗「ここまで逃げれば追いかけてこないわよね・・・」
和「そうね・・・あら、あれは・・・」
和琴が見つめる先には研究所があった。そう、先ほど咲彩たちが発見した個性研究所にそっくりな・・・
水「原始的な島には不釣り合いな建物だな・・・」
凛「何かの研究所みたいですね。」
和「この島のことや脱出のヒントがわかるかもしれないし入ってみる?」
麗「賛成。中に船が残ってるかもしれないしね。」
凛「愛麗と磨伊さんが行くのなら同行します。」
水「ここにいてもさっきの奴らに追い掛け回されるかもしれないしな。」
奈「ならわたくしも・・・」
麗「決まりね。それじゃ中に入りましょうか・・・あら?」
愛麗は研究所入口の前で立ち止まる。
和「どうしたのよ。」
麗「門に研究所の名前書いてあるわ。「騎ノ風市営個性研究所第2支部」だって。」
凛「ここが第2ということは、第1支部がどこかにあるのでしょうかね・・・」
和「そうなんじゃない。まあ第1第2とか気にするほどのことじゃないし、入りましょ。
奈「そうですわね。門も壊れているみたいだから簡単に入れますわね・・・」
こうして、愛麗たちは第2研究所と書かれた謎の建物に足を踏み入れたのだった。

麗「それにしても廃機械の多い研究所ね・・・これで本当に個性の研究していたのかしら。」
水「そうだな・・・もっと得体のしれない研究してたのかもな。」
和「人体実験とか?その割には血痕の後とかそういうのは見当たらないわよね・・・」
奈「嘉月さんが聞いたら絶叫する話題ですわね・・・」
麗「確かにレンは怖いの駄目だからなぁ・・・」
水「どこかにこの島を脱出できそうな手がかりは・・・あ、ここは資料室みたいだな。探ってみるか?」
麗「そうね・・・このままうろついてても何も見つからないだろうし入ってみましょうか。」
愛麗たちは資料室へと足を踏み入れた。
水「暗いな・・・和琴、なんかつけられるものないか?」
和「あるわよ。」
和琴は小型の懐中電灯を取り出してスイッチを入れ、資料室を照らす。
奈「特に役に立ちそうな資料はありませんわね・・・」
麗「まあ大昔の研究所だし・・・ん?」
凛「愛麗、どうかしました?」
麗「これ・・・何の本だろ?」
愛麗が手に取った本は緑色のハードカバーの日記帳のような本だった。
和「見た目は日記帳みたいね・・・ちょっと読んでみるわ。」
和琴は愛麗から本を受け取ると、懐中電灯で照らしながら読み始めた。

19××年10月10日
ここは今日設立した騎ノ風第2個性研究所。第1研究所の所長である伍代所長がまた別の研究をするために作られた場所だ。
主な目的は第1研究所では扱えない極秘プロジェクトで行う研究や第1研究所で保管できない資料を保管するという目的もある。
伍代所長は市長が平穏人生の会の運営や過激な協調性派の行動に一枚噛んでいると言っていたがそれが事実なら大問題だ。
必要な機材は第1研究所から持ってきてはあるが、今日は設置で忙しいので明日から研究を始めようと思う。未来の騎ノ風市を守るためにも。

19××年10月26日
騎ノ風市やこの島の内部調査を進めるうちに様々なことが分かってきた。やはり市長はクロだった。
この騎ノ風島はこの島の所有者から市長が買い上げたものだった。しかもその時に払った金は1億円。
しかもその金は半分が市民から集めた税金を使っているようだ。何のためにこの島を買ったのかは不明だがふざけるなと言いたい。
それに加え市長はテロ組織平穏人生の会の頭であることも分かった。それに加え協調性派の主導権を握っているということも判明。
私はこのことを知って打ちのめされそうになった。しかしそんなことも言っていられない。伍代所長と連携を取って早い所市長の悪事を世に公表しなければならない。
伍代所長は念のために潜水艦の作製をしているという。おそらくこの島からの脱出する際に使うのだろう。

19××年11月5日
第1研究所が協調性派の人間達に襲われたらしい。伍代所長から重要なデータや書類が第1研究所の研究員によって届けられた。
ここも奴らに見つかれば長くは持たないかもしれない。奴らや市長に見つかるとまずい物は地下室に移しておこう。
もしもの時のために私が以前開発したホログラム装置にこの島を研究して見つけたのこの件の真実を記録しておこうと思う。
これをもし誰かが見つけるようなことがあれば、悪しき心を持たない人たちであることを願う。

19××年11月13日
遂にこの研究所も見つかってしまった・・・ここももう終わりだ。
伍代所長は潜水艦を完成させたかどうだかわからないまま、協調性派の人間に殺されてしまったようである。
私が殺されるのも時間の問題だろう。おそらくこの島は私たちが死んだあとは協調性派の人間達のアジト兼平穏人生の会の活動拠点となるだろう。
だが、このままでは終わらない。伍代所長が記したという日記の破り取られたパスワード・・・これを私は持っている。
パスワードの紙は失ってしまったが、この日記にそのパスワードを記述することにする。

第1研究所の地下室を開けるパスワード シチョウハクロダ

騎ノ風第2個性研究所所長 小泉眞理

和「日記はここで終わってるわね・・・」
水「この小泉っていう所長の言うことが正しければ、地下に秘密がありそうだな・・・」
凛「それにしても・・・今の市長さんはもう何年も前から騎ノ風市の市長をしてましたよね?
こんなことをやっていたのならすぐにばれて引きずりおろされていてもおかしくないと思うのですが・・・」
麗「たぶんそこは隠ぺい工作を行ってずっと悪事を隠していたのよ。隠ぺいがずっとうまくいっていればばれないはず。
政治関係者はそういう所を隠しながら上手く活動するからね・・・」
奈「それで、地下には行きますの?」
麗「ええ、行きましょうか・・・この小泉っていう所長が言っていることが本当だったらあたしたちは市長に騙されたわけだし。」
和「(南星・・・もしさっきの島民のイケニエって言葉が本当なら、あたし達はすでに騙されているわよ・・・)」
愛麗たちは研究所の地下室へ向かい、このことの真実を確かめることにしたのだった。

第2研究所の地下室は鍵が壊れていたのか難なく入ることができた。
麗「ここが地下室・・・?」
奈「随分いろいろなガラクタがありますのね・・・」
和「これは一種のカモフラージュね。あえて物置みたいにすることによって大事な物が隠されているのを分からなくするみたいな。」
水「ホログラム装置ってのはこれかな・・・」
水萌は台座のような形をしてた機械をガラクタの中から探し出して持ってきた。
凛「スイッチどこでしょうか・・・」
麗「あ、たぶんこれじゃない?」
愛麗は側面についていたスイッチを押してみる。すると、若い女性の立体映像が浮かび上がり、話し始めた。
?「私の名は小泉眞理・・・この第2個性研究所の所長です・・・この映像を誰かが見るとき、私はもう死んでいるでしょう。
この映像を見るあなたに真実を告げます。騎ノ風市市長はテロ組織平穏人生の会の会長で実質トップです。
市長は才能のある人間を嫌い、何年かに一度この島に才能を持つ人間を隔離して、島民たちへの生贄として献上しているようです。
表向きでは個性尊重をうたっていますが、裏では組織に市民の税金を流し、個性尊重の考えを潰そうとしているのです。
それとこの島の島民たちは、かつて市長の部下だった者の成れの果てです・・・彼らは理性を失っており、生贄を食べ続けた結果今では獣のような存在です。
元々は市長の部下で協調性派で平穏人生の会のメンバーでしたが、ずっと信頼してきた市長によって切り捨てられたことによって考えるのを止め、
生贄を食べ続けたことによって人を無造作に襲うようになってしまったのです・・・
市長のしたことは許されることではありません。もしあなたが生贄としてこの島に来たのなら・・・すぐ逃げなさい。第1研究所の地下の扉の先には
この島から脱出できる分の燃料を積み込んだ潜水艦があるはず。そして逃げたらこのことを世間に公表するのです。
この島の理性を失った島民のような犠牲を二度と出さないためにも・・・」
そこまで言うと、ホログラム映像は消えてしまった。
和「この映像の言っていたことが本当なら、はめられたってことか。」
水「アタシらにこの島の調査を頼んだのも市長がこの島の連中の生贄として差し出すためだったんだな。」
麗「それならなおさら島民につかまる前にこの島からでないと・・・」
愛麗がそう言ったとき、部屋の片隅にあるパソコンの電源が入り、女性の声が聞こえた。
?「・・・か・・・だれ・・・」
水「なんだ?あのパソコンから音が・・・」
水萌がパソコンに近づくと、音がはっきり聞き取れた。
?「誰か・・・誰かいないの?」
麗「その声・・・環輝?」
環「愛麗!そこはどこ!?」
麗「急にそんなこと言われても、あんたこそどこからかけてんのよ?」
環「騎ノ風市営個性第1研究所よ・・・」
和「個性第1研究所って・・・あの日記に出てきた・・・」
環「それで、そっちはどこにいんのよ!?」
麗「個性第2研究所だけど・・・」
環「個性第2研究所・・・そうなの!?あのさ、第1研究所の所長が書いた日記に地下の扉を開けるパスワードがあるって書かれてたの。そのパスワード教えてくれない!?」
麗「パスワード・・・たしかシチョウハクロダだったけど・・・」
環「でかしたわ!苺瑠、櫻子と一緒に地下室の扉に行って、入力して来て!」
麗「ちょ、苺瑠と櫻子もいるの!?」
環「ええ・・・咲彩と柚歌もいるわ。」
麗「こっちは、凛世と和琴と奈摘と・・・それに水萌と一緒よ。」
咲「らっちゃん!みなちゃんいるの!?無事!?」
水「咲彩こそ無事でよかったよ。」
咲「無事でよかったよみなちゃん・・・」
和「それにしても電波の悪い環境で通信機なんてよく作れたわね。」
環「まあそれにはいろいろ理由があってね・・・」

~回想~
環「できたわ!通信装置が。」
柚「もうできちゃったの。早いね・・・」
環「アンの科学力があればこれぐらいは楽勝だし。」
姫「あのガラクタの山からこんな立派な奴を作るなんてすごいな・・・」
環「しかもそれだけじゃないし。この通信機を使えば、電源の入っていない無人のコンピューターをハッキングして強制的に電源を入れて通話できるシステムもあるの。」
櫻「科学の力ってそこまで進歩してるんだね・・・」
環「運がよかったのがこの研究所は電波がないせいか電話線もしくは有線ケーブルでどこか別の場所とつながっていてその回線は今でも無事だったみたい。
そこを応用してその場所にあるコンピューターとなら通信ができるってわけ。」
姫「我にはよくわからないけどすごいな・・・」
環「さて、これからさっそく通信をしてみるし。」
咲「誰かのいるところにつながればいいけど・・・」
環輝は通信機を操作して、この島にある他のコンピューターと接続を試みる。」
環「・・・つながった!誰か・・・誰か・・・」
~回想ここまで~

環「・・・っていうわけよ。」
麗「昔のコンピューターでそれほどのものを作れるなんてあんたの腕には脱帽だわ。」
咲「あ、苺瑠ちゃんたち戻ってきたよ。」
姫「開いたよ!中には・・・潜水艦があったよ。」
櫻「だいぶ長い時間がたっているみたいだけどシステムを起動したら動かせたよ。」
水「こっちにあった日記の通りだ・・・」
咲「それなら早く脱出したいけど・・・他のみんなはどこにいるんだろう・・・」
麗「だからってこの島で動き回るのは危険ね・・・あたしたちだけでも咲彩たちと合流しましょう。」
凛「そうですね・・・ここにいると島民に見つかる可能性もありますし、うかつに動き回るのは危険ですよね・・・」
麗「よし、第1研究所に向かうわよ。」
愛麗たちは第2研究所にある必要そうなものを持ち、咲彩たちの潜伏している第1研究所へと向かった。
愛麗たちは果たしてこの島を脱出し、市長の悪事を突き止めることができるのだろうか?

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